※腐臭がいたします。ボーイズがラブっちゃう、びーえる系のことです。若干ではありますが嫌悪感を抱く方、また意味がわからない方は避ける方がいいかもしれません。
また、この話に性的描写はまったく含まれておりません。

 

『手に入れたいのは君が紡ぐその名前』

 

「……おいコラ、雅哉(まさや)」
「ん――……」
ため息をつきながら横目に見ると、少し年上の友人はオレの肩を枕にぐっすりと眠っていた。自分より体格のいい男にもたれられても重いだけだ。迷惑でしかない。疲れてんならさっさと帰ればいいのに、たまには本を読めとか言って自分の職場でもある図書館に引っ張り込んだ張本人が、メガネもはずさず居眠りとは。普段ならこんなとこきて寝るのはオレなのに……オレと会ってる暇があったら休めっつの、バカが。わざわざ仕事思い出すような場所に来んなよな……。
館内で大声で起こすわけにもいかないから諦めてたけど、しばらくすると本気で重くなってきた。肩、痛い。
(っつーかコイツも首つらいんじゃねーの……?)
もう一度視線を向けてみれば、規則的に続く呼吸や案外幼い寝顔はまるで安心しきっているようで、しんどそうな様子は一切ない。人にもたれて熟睡しちゃって、いい気なもんだ。雅哉がオレのためにと積み上げた本に目をやり、何度目かのため息をついた。……まったく、オレってお前にとって調度いい枕かよ。初めて会ったときから子ども扱いしてくるし世話焼きたがるしムカつくヤツだとは思ってたけど。そんな油断しきってていいのかよ。オレがなんかするとか思わないわけ?
(……ばっかみてぇ。思うわけねぇじゃん……オレら、男同士なんだから)
オレのおかしな趣味は初対面からバレてはいる。偶然共通の友人がいて、そいつも同じだったからだ。理解ある雅哉のおかげで、問題なく友人関係が続いてきたのに、自分からそれを壊すことなんてできない。そもそもオレが雅哉に手を出すなんて勇気、あるわけもない。
(だいたいオレはネコだっつの。出されたい方なんだよちくしょう)
そんなことを考えているうちに八つ当たりをしたくなってきた。雅哉はなんにも悪くない、ただの逆ギレのようなもの。 でも大層なことはできないから(前にポケットにカエルを突っ込んでやったときは本気で怖いくらい怒られた)とりあえず整った顔からめがねを取って隠してやろうと手を伸ばす。
「りょ……ぅ……」
フレームに指をかけたとたん、雅哉が口を開き思わず指を震わす。顔を覗き込んでみると、寝言だったことが安易にわかった。ほっとすると同時に、期待せずにはいられない。
もし今のが、“諒(りょう)”だったなら――……
(……ありえない。ただの願望だ)
雅哉が寝言で俺の名前を呼ぶなんて、ありえないんだ。コイツの夢の中には“葛城(かつらぎ)諒”は出てこない。それほど強く意識なんてされてない。
オレは手を引っ込めると、テキトウに持ってきていた小説を開いた。積まれた本で他の人から陰になり見えないことを確かめてから、このくらいは許されるよなと、オレはあいてるほうの手でそっと雅哉の髪をなでてみた。

 

ソイツの目が薄く開き口元が緩んでいたことなんて、オレはその時は知らなかった。

 

fin
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ははははははははは!!!!!!←もう笑うしかない
レベルは低かれど、書いてしまったわ!!
まあ沙久はラクガキでもっとすごいの書いちゃってるけどね!!!!!!(゜д゜)エエェエ
たぶん雅哉さんは諒の気持ちとかもどかしさとか、考えてること全部わかってると思いますw
もやもやしてる様子がかわいいので少しいたずらしてるんですね!
…沙久ちょっと氏んでこいよ☆って感じですね!!;;

 

(2011/2/13 加筆修正)
沙久