『ハツカネズミの唄』

 

 

逃げてないで シンデレラ!

 

いつまでそうしている気なんだ
ほら掃除を言いつけられたろ
悲しそうな顔はやめてくれ
励まさずにはいられないだろ
うつむくけれど動かない君 ホントは夢であふれてるくせに
仕方ないなぁ

靴がないなんて言い訳はよせよ
君が持ってんのはそれ以上のものさ
片方のガラスと小さな仲間 カボチャも忘れちゃだめだ
「靴がないのなら行かなくていい」?
やめなよそんな 気弱なこと言うのは
逃げてないで シンデレラ!

まだまだそうしている気なのか
ほらとりあえず立ち上がってみな
自信のない顔はよくないぜ
励ますため抱きしめたくなる
扉の前で足止めた君 ホントは愛であふれてるくせに
仕方ないなぁ

靴がないなんて言い訳はよせよ
君に足りないのはそんなもんじゃないだろ?
あの日投げそびれたコトバのボールと カボチャひとつ分のユウキ
靴がないのならそのままでいい
魔女がいなくたってまた走り出してみなよ
逃げてないで シンデレラ!

靴がないなんて言い訳を捨てた
俺の大事なお姫様が走りだしたよ
あの日脱げてしまったガラスを片手に カボチャは置いていっていいの?
「靴がないのなら逃げてしまえよ」
「王子がいなくたって俺が傍にいてやる」
言えなかった 君には    

 

逃げたいよ シンデレラ…

 

まやかしの夜の白馬
それはハツカネズミ
素直になれず手を振っている

 

そんな唄があってもいいだろ?

 

 

fin
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もしシンデレラが、王子の迎えの前に自分から走り出していたら。
そんなシンデレラを切ない思いで見送っていた唄があったら。
大好きだって言えずに終わったネズミの恋の詩、すごく気に入ってます!^^

 

(2011/4/17 加筆修正)
沙久