『君の声、約束。』

 

『……永瀬、聞いてるか? 永瀬?』 ケータイから聞こえる、機会越しの聴きなれた声に永瀬はハッとした。
「ごめん、今起きたまま寝てたよ」
『日本語を勉強して来い。せめて起きたまま夢見たくらいにしとけっつの』
笑いをこらえるような佐藤の顔なんて、永瀬にとっては見なくてもすぐわかる。苦笑いともとれそうなそれは、楽しげなのだろう、永瀬もつられたように小さく笑みをこぼした。
『あ、めずらしい。今永瀬が笑った』
嬉しそうな声音。顔を見なくても理解できるのは佐藤も同じだったようだ。
(……ああ、そっか。幼なじみ以前にアタシ達つきあってるんだもんなぁ)
今さらながら、ぼんやりと思う。不意に、空港での見送りの際に交わした触れる程度のキスを思い出してしまい、永瀬の頬は薄く染まった。もうあれから結構たったというのに、あの柔らかな感触は今でも残っているようだった。
『……なあ。なんだかんだでずっとこっちにいるけどさ』
「? ……うん。そだね?」
佐藤はなんだか言い辛そうに言葉を区切る。引っ越し先のこっちとは北海道のことだろうか。まぁどうせ大したことではないだろうと永瀬はのんびりと構えていた。 『年末あたり、には、帰れると思うから。だから……』 “クリスマスはあけとけよ。” 佐藤のぶっきらぼうで小さな言葉が、永瀬の耳に届いた。
瞬間、表情の乏しいその顔に柔らかな笑顔が咲いた。
うん、とこれ以上ないほど小さな声で答えた永瀬は、まぶしそうに壁のカレンダーを見つめたのだった。

 

fin
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すでに懐かしい「僕月」の“その後”ネタ!
今でも変わりなく二人はラブラブなご様子で(←視線は遥彼方
なんと、クリスマスくらいには僕月とストロベでコラボしようと思ってます!!
今回のはその前置きのようなものでして。
テストも有り更新できない日が続いておりますが…待ってて!もう少しで終わるから!!(泣)
日本史に戦国時代が出てきてBASARAの武将まで出てきて緩みきってる頬をなんとかして帰ってくるよ!!!(え

 

(2011/2/13 加筆修正)
沙久