自分がこんなにも我慢強いとは、正直、思ってなかったんだよ。本当。
多分…君だからじゃないかなあ。

 

『君に言いたい言葉=いえない言葉』

 

「高橋ーっ聞いて聞いてよ! もう私どうしよう!!」
「あーハイハイハイ、今日はどうしたの? とりあえず落ち着こうねー唯ちゃん」
俺の腹に小柄な体がタックル(本人自覚無し)をかましてくるのは、すでに日常的なことになっていた。俺、高橋貴一(たかはし きいち)は彼女に何かある度に相談役となってしまっている。そしてその内容はいつも決まってるんだよね……。
「渉(わたる)がね、私との約束あったのに、他の女子に誘われたからって断ってきたんだよ?! ありえないよ! 彼女は私なのに!!高橋、もうだめかもしんないよーっ!」
そう、彼氏のグチなのだ。泣き出しそうで必死な唯ちゃんには悪いけど、今月に入って何度目かな?その手の相談。
だいじょーぶだよ、と細い背中に軽く腕を回してみる。怒られるかなと思ったのに、唯ちゃんは逆に俺の腰に抱きついてた手に力をこめてきた。こんな風に小動物っぽく甘えられるとかわいくてしょうがないのだけど。この子ってば俺のこと完璧にタイショウガイだよね?もうそういうことなんだよね?あーわかった、同意してくれなくていい。目がすでに同情してるよ。
「うぅー……やっぱ高橋は優しいねぇ……」
「あはー。そうでしょ?でもあんまり教室で抱き合ってると渉君が怒っちゃうから離れよっかー」
うん、と素直に離れていく体が、少し名残惜しかったりするんだけど。
「もうやんなちゃうよー。私高橋と付き合ったほうがいいのかもしんないね」
そんなこと言わないの!ってたしなめる言葉が苦々しくて、自分でもイヤになる。君はそんなこと言っても、結局はアイツのことが大好きで。俺はいつまでたっても相談役。そんなことわかってるさ…だから、だから。ねぇ。

 

コレイジョウ オレヲ オイツメナイデクレ。

そんなかわいく微笑まれたら、奪いたくなっちゃうよ?

 

fin
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あきらかにモデルいるよね、しかもそれは二次元にだよね(^^;;
まっずいなー、「あはー」って夢小説で彼がよく言うじゃんorz
蜂助さんあたりにはすぐばれちゃいそうな気がする;;;
沙久はイニシャルS・Sな彼が大好きってことで。許して。

 

(2011/2/13 加筆修正)
沙久