『君がいるから花は咲く』

 

 

種をまいた  僕だけの庭に
きれいな花が咲くのだろう と

 

水をあげた  僕だけの種に
大きく育つように と

 

僕は待った  僕だけの花を
いつかは芽がでるのかな と

 

でも
芽はなかなかでなかった
それでも僕は毎日水をあげた
みんなは僕を見て笑った 「まだそんなことをしているのか」
「あきらめて別の種をまけばいいのに」

 

それでも僕は水をあげた

 

だって
これは僕だけの種
僕のために花をつける
僕が水をあげなかったら
この花は死んでしまう

 

そうして何日も 何日も
僕は水をあげ続けた

 

ある夜  嵐が来た
木は怖がって 身を寄せ合って早く嵐が通り過ぎるようにと声を合わせて唄った
湖は怒って ザブザブと暴れて突然の嵐に文句を言った

 

僕は慌てて 僕の庭に行って
いつか咲くあの種を守った

 

嵐は夜中続いた
僕は泥だらけになった
それでも種を守り続けた

 

朝が来ると 嵐は消えた
僕は疲れきって庭に寝転んだ
横を見ると そこには
小さな小さな 芽があった
それは僕が種を守ったしるし

 

僕はその芽に笑いかけた
「おはよう。気分はどうだい?」

 

この芽はもうすぐ
きれいな花になる

 

fin
…………………………

 

なんかこう、最後に気持ちがほわーっとするお話が好きで書いてみました。
ラスト4行が私のお気に入り。

 

沙久