あ・っ・た・か・い♪
なんだこれもうあったかすぎてこっから出たくねー……

 

『くろねことごはん』

 

 おれ、ねこ。名前は「セツ」っていうらしい。この間から新しいごしゅじんの家にすんでる。
 んでいまおれがしあわせーに思ってるのがこの“なんかよくわかんねーけどぽかぽかなヤツ”の中にいることだ。
 ごしゅじん……サクっていうんだけど、そいつは「こたつ」って呼んでたかな。
「雪(せつ)ー? 雪……あれ、どこいったんかな」
 あ、サクの声が上からきこえる。でもでてきてやんない。だっておれサクよりコイツがすきだ。
「さっきまでいたと思ったのに……って、ぅわあっ!?」
「ヒギャッ!!」
 つ、つ、つめてー!! なんだなにがおこったんだ! やたらつめたいものがおれに体当たりしてきたぞ?!
「と、鳥肌たった…! 雪そんなとこにいたの?! びっくりしたよ、コタツに足入れた途端生暖かいもの触るなんて……」
 びっくりしたよ、じゃない!! なにすんだこら!! ごしゅじんでも許さないぞ、うらっ!!
「わ、わわ、ごめんって爪立てないで痛い痛い痛いーっ」
 ふん、反省したか!
「うう……もうご飯あげるから許してよ」
 ……おお! そうだなそろそろはらへったな! よしそれなら許してやろう!
「じゃあ出といで。コタツの中にキャットフード入れんのはヤだかんね?」
 え……で、出ないとダメか? どうしてもダメなのか? なぁサク、おれさむいのキライ……。
「さーあ寒さと空腹どちらかを絶えるんだね」
 いじわるいうなっサクのばーか! ばーか!
「……空腹をとったか」
 ち、ちがう!ちがうんだかたづけないでくれ!!
 さむいのはキライだしサクに負けたくないんだけど、はらがへってはいくさはできぬ、だ。前にサクがそんなこといってた。
「……みゃー」
「お、観念したか。ほらお食べ」
 なんとなくくやしい。
 でも、はらがいっぱいになったらたぶんそんなこともどうでもよくなる。

 

 ねこの気分は早変わり。

 

 

fin
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黒猫シリーズ第2段〜。これどこまでいくんだろうか?
たまに別のを挟みながらちょいちょいやっていこう。

 

(2011/9/12 加筆修正)
沙久